ジュンサイ

ジュンサイの開花
ジュンサイ 2019年6月25日 撮影:田中直義
ジュンサイの花
ジュンサイの花 2019年6月25日 撮影:田中直義

ジュンサイBraseria shreberi)スイレン科

 

 浮葉植物で多年草。関東の池沼ではほとんどみられなくなった。じゅん菜池では1933年(昭和8年)まではジュンサイが生育していたということがわかっている。それは1933年にこのじゅんさい沼(当時の名称)からジュンサイを採取したという記録があるからである(戸倉章 じゅんさいノ開花ニ就イテ(其一) 植物研究雑誌第十三巻第十一號(829-839)1937による)。

 

 この種は東南アジアからインド、アフリカ、オーストラリア、アメリカと広く分布。長径10cmほどの楕円形の葉を水面いっぱいに広げる。若芽は粘液質に包まれていて食用にされる。花は直径1.5cmの小さな赤い花で、6月に開花し、一個の花は2日間咲く。萼片は3枚、花弁は3枚、 1日目の花は雌しべが成熟、一旦夕方閉じて水没し、翌朝水中から出てまた開く、2日目は赤い雄しべが多数出て成熟すると、午後には白い花粉が放出され、まもなく花は閉じる。雌性先熟という極度に自家受粉を嫌う他家受粉システムが働く(風媒花)。