水生植物の育成&保全

ジュンサイをはじめとする水生植物の育成・保全を行っています。

 ジュンサイは、ここのシンボル的水生植物です。昭和初期、今から90年ほど前までは自生していたことがわかっています。国分沼、通称じゅんさい沼と呼ばれた古くからの沼でした。沼が枯渇に瀕したり、一時期水田化されたりもしましたが、1980年代前半に掘りなおされて公園緑地に変身しました。会の発足も、できるものならここに池の通称名ともなっているジュンサイを復活させたいという願いからでしたので、ジュンサイ育成は会の第一目標です。

ジュンサイ
ジュンサイの開花 2020年6月8日 撮影:谷口浩之

 育成が試み始められた当初、じゅん菜池産ジュンサイはすでにどこにもなく、縁あって山形県大谷地沼産ジュンサイを譲り受けて育成が開始されました。何度かの成功はありましたが、様々な問題が立ちはだかり、こちらが思ったようにはなかなか定着してくれないのが実情です。そうした中、2018年に同じ千葉県、利根川水系に属する印旛沼産ジュンサイ(沼内ではすでに絶滅)を育てていた千葉県立中央博物館から株を分けていただける機会に恵まれました。現在はその株の成長を見守っています。

 ジュンサイの他にも、ここに自生していたと考えられる水生植物を中心に育成・保全に力を入れています。現在は、アサザ、トチカガミ、コウホネ、各種の藻類などが元気です。


アサザ
アサザ 2015年9月20日 撮影:名取史織
トチカガミ
トチカガミ 2010年9月19日 撮影:名取史織
コウホネ
コウホネ 2020年4月28日 撮影:谷口浩之

 育成池で1995年に同定された絶滅危惧種第Ⅰ類のイノカシラフラスコモは、残念ながら現在、池内での確認が困難な状態にあります。しかし池底には胞子の残存が確信できますので、供給井戸水の水量回復など、発芽に寄与する条件が整うことを願っています。

 試行錯誤をしながら頑張っています。

注:ジュンサイ及びイノカシラフラスコモについて、水槽で育成している水草については、「じゅん菜池の生きもの」をご覧ください。

イノカシラフラスコモ
イノカシラフラスコモ